営業マンの放浪日記

発酵牛床(コンポストバーン、バイオベッド)その18

植田秋良の日記2024/10/07

(2)維持管理の方法(後編)

❹撹拌する
発酵牛床を撹拌することによって
以下のようなことが期待できます。

(イ)発酵状態が均一になる
  (敷料とふん尿が混ざることにより)

(ロ)平らになる
  (整地される)

(ハ)発酵が促進される
   (少しだけ)
 

また、
発酵牛床が硬い時には
一時的ではありますが
フカフカにする効果もあります。
(牛が横臥すれば、すぐ硬くなりますが)

攪拌する機械は
主に以下のような(畑で使う)耕運機です。

(ア)ロータリハロー、パワーハロー、スプリングハロー

主な特徴は以下の通りです。

・撹拌深度が浅い(30㎝程度)
・発酵牛床が細かくフワフワになる
 

(イ)サブソイラ

主な特徴は以下の通りです。

・撹拌深度が深い(60㎝前後)
・発酵牛床は細かくならない(粗くなる)
 

(ウ)テイラー(家庭菜園用耕運機)

主な特徴は以下の通りです。

・手軽な上、狭いところでも使用できる
・一方、広いところでは時間がかかる
 

どの機械を選ぶかは
発酵牛床の状態を
どのように維持したいか
によって変わってきます。

最後に
撹拌の注意(留意)点ですが、
以下のようなことが挙げられます。

(ア)やり過ぎないこと
   (発酵牛床の微生物が落ち着かない)

(イ)好気発酵の促進を期待し過ぎないこと
   (特に発酵牛床の水分が高い場合は効果が見込めない)

以上です。

❺床出しする
発酵牛床の堆肥は
どこかのタイミングで
床出し(除糞)をします。

その頻度と
床出しする量については
毎日少量ずつ行う現場と
年に一度まとまった量を行う現場があります。

前者の場合は、
毎日少量除糞し、
その後は少量(除糞量ぐらい)の敷料を投入します。

後者の場合は
『かさ上げ式』発酵牛床の
(又は掘り下げ式+かさ上げ式)
現場で見られます。
 

利点は
(頻繁な)床出しの手間が省けることと、
発酵牛床の厚み(高くなり)が出て
発酵がより安定することです。

その代わり
ある程度発酵牛床が
高くなった時期に
(年に1度ほど)
まとまった量を床出しする必要があります。

まとまった量とは
現場ごとで異なりますが、
およそ発酵牛床全体の
半分から3分の2程度です。

全てを床出しせず
少し残す理由は
残った堆肥が種菌としての役割を果たすからです。
(種菌を残すと再発酵しやすい)

❻何もしない
発酵牛床に限らず
床出しなど『何もしない』で
牛床を維持管理できれば
これ以上のことはありません。

もちろん、
ずっとではありませんが、
できるだけ『何もしない』期間を
長くすることは可能です。

実際、
半年間や1年間の期間
何もしないで
発酵牛床の状態を
維持している現場(肉牛)があります。
 

その現場は
まず、第一に
牛の健康(発育)状態が良く、
ふん便の状態も素晴らしく良いです。
(ふん便の締まりの良さ、臭気の減少など)

結果、
このことだけでも床が長持ちします。

さらに
牛舎(建物)や牛床の構造など
(※飼養密度の薄さ)
(※発酵牛床の深さが充分)
(※日当りや風通しが良い)
好条件が加わった上、
さらに
天候(晴れ)や
気温(春から秋)など
気象条件も揃えば
尚更です。

❼その他
最後に
発酵温度について
お話いたします。

発酵温度は
発酵牛床の状態を知る
一つの目安となります。

しかし、
維持管理する上で
過度に気にする必要はありません。

それは
温度を気にしすぎるあまり
(高温にしようとして)
労力やコスト、神経を
使いすぎてしまう場合があるからです。

北海道の場合、
おおむね冬期は数℃~20℃前後、
春~秋期は10℃前後~40℃前後で
推移していますが、
その範囲内であれば十分です。
(いずれも深度30㎝ほど)

前述した温度帯は
超がつくほどの
低温発酵状態ですが、
発酵状態が良く、
(多種多様な微生物が棲み、バランスが安定していれば悪玉菌も悪さをしにくい)
牛が気持ちよく横臥し、
健康であれば、
何ら問題が無いと考えています。
(例えばチーズの熟成発酵期間も数℃です)

 
(厳冬期の発酵温度の一例)


以上、
維持管理の方法についてでした。


次回は、
発酵牛床のポイント
又は注意点などについて
お話いたします。


乞うご期待です!