営業マンの放浪日記

乳肉複合経営

植田秋良の日記2022/11/19

乳肉複合経営をされているR農場さんにお伺いしました。
(搾乳牛40頭、和牛繁殖牛40頭)

搾乳牛は繋ぎ牛舎で飼養。
エサはTMR(30㎏設定)と乾草(チモシー)を給与し、
(いずれもTMRセンターより)
加えて個体の乳量に応じ配合飼料をトップドレスで追加。
乳量の平均は37~38㎏/日/頭です。

乳房炎は常時少なく、現在は1頭もいないとのことです。

繁殖はほとんどが自然発情ではなく、
ホルモン処置などプログラムを組んで管理し、
大きな問題なし。

搾乳牛舎内(泌乳牛、乾乳、分娩)には
和牛の哺育牛(ハッチ)もいるため、
その子たちに合わせ保温と換気を調整。

程よい暖かさを感じ、搾乳牛の毛づやや乳房、
ボディコンディションの良さから、
良好な状態を感じ取れることができました。


一方、和牛繁殖牛はビニールハウス牛舎で飼養。
スタンチョンを活用しているため、
分娩前の増し飼いなども個別で管理が可能。

牧草はリードカナリー(TMRセンターより)を給与。
こちらは制限給餌しています。

床出しはなるべく頻度を抑え省力化を図っています。
(夏場数か月1度、冬場1か月に1度程度)

授精は人工授精及び搾乳牛に受精卵(購入又は自家採卵)を移植。
これまで優良血統牛を自家保留し増頭してきました。

哺育はホル、和牛とも生後すぐに親から離し人工哺育。
哺育期間はホル約60日、和牛90日で、
いずれもハッチで飼養。
スターターと代用乳はそれぞれ違うものを給与しています。

和牛は基本的に素牛で販売(一部肥育することもあり)。
市場でも高く評価されています。

とりとめない説明でしたが、
以上のようにR農場さんは酪農と和牛繁殖をバランス良く管理し、
上手に経営されています。

Rさんは乳肉複合経営の印象として、
「酪農は哺育育成より母牛(搾乳牛)に手間と神経を使うが、
和牛繁殖は母牛(繁殖牛)より哺育育成に手間と神経を使う」
との考えを持っておられるようでした。

乳肉複合経営は手間や考えることが多い一方、
必要なエサがかぶらないことや
(例:牧草は搾乳牛にチモシー、和牛繫殖牛にリードカナリー)
和牛受精卵移植の活用および和牛素牛販売による収入、肉免など、
多くのメリットがあります。

また、将来的に肉体的な事情などから酪農経営が困難になった場合、
よりスムーズに和牛繁殖経営に転換できる優位点もあります。


あらためて乳肉複合について考えさせられたひと時でした。