前回からの続きを書きたいと思います。
枝肉格付け以下にも、分析型官能評価(食味試験)をされました。
評価項目は、やわらかさ、多汁性、うま味、脂っぽい香り、甘い香り、肉様の香り、
和牛らしい風味の7項目。
どの項目も有意な差はみられなかったという判断でしたが、数値で見ると
甘い香り 26カ月肥育 6.3 29カ月肥育 6.9
和牛らしい風味 6.3 6.8
と差がみられました。
(数値が大きいほど良い)
ちなみに、今回は発表されていませんが、オレイン酸、一価不飽和脂肪酸(MUFA)
飽和脂肪酸の数値も測定されており、論文になった場合発表するかもしれない
との事でした。
話が少し逸れてしまいますが、お肉の味についての評価は皆様意見
が分かれるところでもありますよね。
今のところ僕自身は、個人の好みによる部分が大きいのでは?と思っていますが、
今後、食べ比べる事がたくさんできたのなら変わるのかな?とも思っています。
最後に、温室効果ガスの原因といわれるメタン(消化管内と堆肥処理由来の2項目)
と一酸化二窒素の発生量を推計し削減率を計算されています。
メタンガスが消化管内と堆肥由来を合わせておおよそ14%
堆肥由来の一酸化二窒素が11%削減が期待されるとの事でした。
本文にも書いておりますが、短期肥育は2015年国連サミットで採択された
持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みの一環にもなります。
短期肥育は今までもされている農場もあり、今回の試験結果だけでは
まだ頭数も少ないので判断しにくい部分もあるかと思いますが、
共励会や長期肥育を実施する銘柄牛などを除く、一般出荷の場合の
選択肢として僕個人的にはアリなのではと思っております。
その場合、出荷されるお肉屋さんの方の意見もあるかと思いますし、
素牛の選定(血統も含む)、エサの打ち込み(エサの濃さ)を変えていく必要
があるかもしれませんので簡単ではないかもしれませんが、
エサ代やその他経費を減らす事が可能になると経営面において
メリットがあると思います。
もちろん短期肥育により肥育成績や肉質が大きく落ちてしまうと、良くありませんので
もし実施される場合は小頭数(1スパン)などから試験的に行ってみると
良いかと思います。
少しでも何かの参考になりましたら幸いです。